プロジェクトリポート

トランプ大統領によって失なわれた指導国家としての信頼性
~こんな人物を選んだアメリカを憂うる~

トランプ大統領の出現でアメリカが失ったものはあまりに大きい。圧倒的な覇権国だったアメリカが国際的な影響力を失う大きなった転換点になった。国際的な視野を持たない内向きの選挙民を抱えるアメリカと言う国。
世界で唯一の群を抜いた盟主たるアメリカがなりふり構わぬ「自国第一主義」を振り回しては国際秩序が成り立たない。自ら主導してきた国際協調を否定・破壊し、相対的に強国であるアメリカ自身に有利な二国間取引によるディール外交を振り回しては、アメリカに好感を持つ国はいなくなる。
特に同盟国のアメリカへの失望・不信感は顕著だ。その代表がフランス、ドイツをはじめとする欧州NATO諸国。ひたすら防衛費負担増を求めるトランプ大統領の出現は驚きだった。
日本は安倍首相のトランプへのすり寄り戦術を展開中だが、アメリカへの信頼感は傷ついたことは明らか。
地球温暖化環境問題問題、移民問題での国際協調を破壊したことの影響も大きい。
米中貿易戦争もどこまで読んでのことか怪しい。トランプ大統領の思い付きで戦術がころころ変わるようでは先が危ぶまれる。
イランへの対応も合意を自ら破棄しておいて、イラン側の約束不履行への制裁を叫んでも、国際的な説得性はない。
中国の復権への意欲から、米中の競い合いは今後数十年にわたることは確実だ。トランプ大統領という一指導者を超えた米国の戦略的な流れを鮮明にさせたということでトランプ大統領の果たした意義は大きい。しかし、言動は荒く、ブレが激しすぎる。戦略的な対処とはいいがたい。

国家はもちろん企業・個人としても波乱の国際環境を前提とした対応が欠かせない。

国際問題評論家 潮晃


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